2015年6月13日土曜日

2015年度 人工知能学会全国大会で発表しました

はこだて未来大学で開催されたJSAI2015で発表しました。
認知科学会と人工知能学会のコラボセッションを認知科学会側としてオーガナイズしました。
Barsalouの知覚シンボルシステムを題材に議論したのですが、とても面白い方向性を出せたと思います。詳しくはPDFファイルを読んで下さい。

その他、例年の通り、記号創発ロボティクスセッションをオーガナイズしました。立ち見も出るほどの集客で大成功のセッションでした。

  • 「学会コラボセッションS2「知覚的シンボルシステムの実現に向けて」
    認知科学とAIの再会 ―認知科学会とのコラボレーションセッション―S2: 「知覚的シンボルシステムの実現に向けて ―人間知能の構成論的理解―」

    オーガナイザ:岡田 浩之氏(玉川大学)
    今から60年前,ダートマス会議から始まった人工知能研究の歴史は人間の認知過程の理解と構築がその大きな目的であり,認知科学研究にとってもそれは同じであった.抽象的で概念レベルの複雑な情報に意味を与える高次の知覚過程は人間の認知過程の重要な要素の一つであり,この高次の知覚過程により,漠然とした環境情報は心的表象へと組織化されていくと考えられる.しかしこれまでの人工知能研究はこの高次の知覚過程を無視し,既成の表象を予め作ることで対処しようとし,人間の認知過程の理解という点ではことごとく失敗してきた.同様に認知科学研究においても,当初は知覚的な認識論が主流であったが,人工知能や計算科学,脳科学などの影響により,認識論の主流は非身体的,非知覚的なものとなり,知覚的な認識論の立場は失われていった.しかし多様な媒体の処理がある程度できるようになってきた現在,それらの限界を超えた議論が可能になったと考えられる.そこで本セッションでは,非知覚的な認識論が抱える問題にとらわれることなく,複雑で外乱に富んだ実世界から得られる情報に関して,十分に機能的な概念形成システムを目指した知覚的シンボルシステムの実現に向けた学際的な議論を行う.
    趣旨説明:岡田浩之(玉川大学)

    講演1:認知科学からみた概念の表象と構造 松香 敏彦氏(千葉大学・文学部)
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    講演2:創発システム論から見る記号 ~内部視点から記号を捉える記号創発ロボティクスのアプローチ~ 谷口 忠大氏(立命館大学 情報理工学部)
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    講演3:初期発声発達における社会的相互作用バイアスの役割り 浅田 稔氏(大阪大学大学院工学研究科,大阪大学未来戦略機構認知脳システム学部門)
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  • オーガナイズドセッション「OS-12 記号創発ロボティクス 」
    「記号の意味はシステムの中で生まれる」
    今井 むつみ(慶應義塾大学環境情報学部)
    佐治 伸朗(鎌倉女子大学児童学部)
    浅野 倫子(立教大学現代心理学部)
    大石 みどり(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    岡田 浩之(玉川大学脳科学研究所)

    従来、語意の習得は形式が世界のどの対象に対応づけられるかを学ぶ過程と考えられてきた。しかし実際の語意はこのような一対一の対応関係の中では決まらない。例えば「アオ」という語の意味を理解するためには、当該言語が「アオ」を取り囲む他の語との境界線をどこに引くのか,当該言語の色語彙システムの全体を見渡さなければならない。本発表では色語彙を材料に子どもが語彙システムの構築をどのように進めていくかを議論する。

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  • オーガナイズドセッション「OS-17 汎用人工知能とその社会への影響 」
    「海馬-嗅内皮質の情報処理と移動ロボットのナビゲーション問題との関連性調査とモデル化」上田 隆一(産業技術大学院大学産業技術研究科情報アーキテクチャ専攻)
    水田 恒太郎(理化学研究所 脳科学総合研究センター)
    山川 宏(株式会社ドワンゴ人工知能研究所)
    岡田 浩之(玉川大学 脳科学研究所)
    齧歯類の海馬-嗅内皮質で発見されている各種脳細胞の働きと、移動ロボットのナビゲーション問題で用いられる数理モデルの関連性を調査する。海馬-嗅内皮質がどのような環境地図生成(SLAM)、地図内での自己位置同定、行動決定を行っているかを数式でトップダウンでモデル化し、海馬-嗅内皮質の働きで既知・未知の部分を簡潔に表現する。また、このモデルから考えられるSLAMの新しい形式を議論する。
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  • 「ロボットの学習」
    「状況を分解する学習モデルによる言語の獲得と分類」
    永野 秀明(玉川大学 脳科学研究科)
    山川 宏(株式会社ドワンゴ人工知能研究所)
    荒川 直哉(株式会社ドワンゴ人工知能研究所)
    岡田 浩之(玉川大学 脳科学研究所)

    記号接地問題の解決には,単語ラベルを対応づけるべき概念を事前に用意する必要があるが,動作動詞では,接地先の概念空間の性質が分類に大きく影響するだろう.よって母語や文化によって異なる分類をする動詞の分析から,動詞の背景にある多元的な概念空間の性質を知りうると期待できる.本稿では,動詞が接地する概念空間についての分析を,多様な状況として抽出する状況分解技術を計算モデルとして参照しながら行った.

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